⑤令和6年能登半島地震における支援活動について

木下拓也1)2)・秋山大地1)2)・山下浩史1)2)・和泉謙二1)
1) 静岡JRAT 2)JA静岡厚生連遠州病院

1.はじめに
 令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県をはじめとする北陸の各県に甚大な被害をもたらしました。今回、一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会(以下、JRAT)の隊員として参加した2月10日~12日(3日間)の現地活動について報告します。

2.活動内容
 JRAT支援活動の原則は、1)発災直後より保健・医療・福祉調整本部に参画、2)避難所が開設されてからの支援、3)医療や介護保険サービスに繋ぐ、4)地元の地域リハビリテーション活動等へ移行し撤退、5)避難者の住民力を活かし、役割、活動、参加等を提案、とされています。私が現地活動を行ったのは発災から約1ヶ月が経過した頃であり、応急修復期→復旧期→復興期と移行していく中での応急修復期から復旧期にあたる時期でした。活動を行った七尾市、志賀町、能登町、穴水町は多くの地域で断水が続いており、屋外に設置した仮設トイレを使用する避難所も点在していました。今回、私は主にリハビリテーショントリアージによる要支援者の抽出(資料1)、避難所のアセスメント(資料2)、生活不活発病対策としてDVT予防の支援を実施しました。また、各市町の調整会議に参加し、保健師やDMAT(災害派遣医療チーム)、JMAT(日本医師会災害医療チーム)等と協力し、先遣隊がアセスメントした受援者基本表を基に継続支援の必要な方がいる避難所を巡回しました。数名程度の小規模な避難所から100名超の大規模な避難所へ集約・統合の段階にも関わり、段ボールベッド周囲の環境調整、据え置き型手すりや室内履きの提供、安全な導線の確保等も行いました。現地での活動を通して、避難所生活が長期化している避難者の心情に配慮しながら関わることの難しさも実感しました。

3.今後に向けて
 南海トラフ地震を起因とするM8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%と言われており、静岡県でも災害を想定した行動が必要とされています。今回、JRATでの現地活動を経験し、普段の臨床での対象者のアセスメント、治療選択、地域資源の活用から活動・参加に繋げていく過程は災害支援活動においても活かせるという事を学びました。
今後も地域に目を向けつつ、日々の臨床に励む事が災害時の支援活動にも繋がるのではないかと考えます。

[謝 辞] この度、貴重な機会を与えてくださいました石川JRAT、静岡JRATの関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

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